戦略コンサルティングファームの選考では、ケース面接と並んで志望動機が問われます。特に面接の後半や最終面接では、「なぜ転職するのか」「なぜこのファームなのか」を繰り返し深掘りされることも少なくありません。本記事では、志望動機を4つの階層で組み立てる方法と、説得力を高めるための準備の進め方を解説します。
※ 面接での質問内容や重視される観点は、ファームや面接官、応募ポジションによって異なります。
志望動機は「4つのなぜ」で組み立てる
志望動機は、次の4つの階層に分けて考えると整理しやすくなります。
| 階層 | 問い | 答えるべきこと |
|---|---|---|
| 1 | なぜコンサルか | 現職(事業会社・金融など)ではなく、コンサルタントという仕事を選ぶ理由 |
| 2 | なぜ戦略ファームか | 総合系・専門特化型などではなく、戦略領域を選ぶ理由 |
| 3 | なぜこのファームか | 数ある戦略ファームの中で、応募先を選ぶ理由 |
| 4 | 入社後・将来何をしたいか | 入社後に取り組みたいこと、中長期で目指す姿 |
面接では、どの階層から聞かれるかは分かりません。それぞれに答えを用意するだけでなく、4つの答えが一本の線でつながっていることが重要です。
1. なぜコンサルか
現職で得られないもの、コンサルタントという立場だからこそできることを明確にします。「成長したい」「視野を広げたい」だけでは、どの転職先にも当てはまってしまいます。
たとえば、「現職で一つの事業の改善に取り組む中で、より上流の意思決定に関わりたいと考えるようになった」「複数の業界・企業の課題に向き合うことで、課題解決の型を磨きたい」など、自分の経験から生まれた問題意識と結びつけて語ることが大切です。
また、「事業会社で当事者として取り組む道もあるのに、なぜ外部の立場を選ぶのか」という問いへの答えも準備しておきましょう。
2. なぜ戦略ファームか
コンサルティングファームにも、戦略、業務改革、IT、組織・人事など、さまざまな領域があります。その中で戦略領域を選ぶ理由を、自分の関心と結びつけて説明します。
- 経営レベルの意思決定や全社的な方向性に関わる課題に関心がある
- これまでの経験の中で、戦略の立案段階に課題を感じたことがある
- 仮説構築と検証を繰り返す思考の仕事に強みを活かしたい
ここでも、他の領域を否定する形ではなく、「自分がなぜ戦略領域に惹かれるのか」という前向きな理由で語ることがポイントです。
3. なぜこのファームか
最も差がつきやすく、準備が不十分だと見抜かれやすいのがこの階層です。どのファームにも言える理由(「グローバルに展開している」「優秀な人材が多い」など)だけでは、説得力が弱くなります。
後述するファーム研究を通じて、応募先の特徴と自分の志向・経験との接点を具体的に言語化しましょう。
4. 入社後・将来何をしたいか
入社後にどのような領域・テーマに取り組みたいのか、中長期的にどのような姿を目指すのかを伝えます。将来の方向性は変わってもかまいませんが、現時点での考えを自分の言葉で語れることが大切です。
「将来は事業会社に戻りたい」「起業したい」といった志向がある場合も、隠す必要は必ずしもありません。ただし、「コンサルでの経験をどう活かすのか」「入社後にどのように価値を発揮するのか」を合わせて説明できるようにしておきましょう。
過去の経験との一貫性を作る
志望動機の説得力を大きく左右するのが、これまでのキャリアとのつながりです。次のステップで整理してみましょう。
- キャリアの棚卸しをする:これまで取り組んだ仕事、印象に残っている出来事、やりがいを感じた瞬間・もどかしさを感じた瞬間を書き出す
- 共通する問題意識を見つける:書き出した出来事の中から、「自分が繰り返し関心を持ってきたこと」を抽出する
- 転職理由とつなげる:その問題意識が、なぜ現職ではなくコンサル・戦略ファームで満たされるのかを説明する
- 将来像まで線を引く:入社後の経験が、将来目指す姿にどうつながるのかを描く
一貫性とは、過去のすべての選択を後付けで正当化することではありません。キャリアの転機ごとに「何を考えて選んだのか」を率直に振り返り、その延長線上に今回の転職があることを示せれば十分です。
ファーム研究の進め方
「なぜこのファームか」に説得力を持たせるには、表面的な情報にとどまらない研究が欠かせません。
公開情報を読み込む
- 公式サイト:注力している業界・テーマ、組織の特徴、採用ページのメッセージ
- レポートや書籍:ファームや所属コンサルタントが発信している調査レポート、論考、書籍
- ニュースやインタビュー記事:経営陣や社員の発言から、組織として大切にしている価値観を読み取る
ここで注意したいのは、公開情報をそのまま志望動機に引用するだけでは不十分だということです。「その情報のどこに、なぜ自分が共感したのか」まで踏み込んで考えることが大切です。
社員と話す機会を活用する
説明会、カジュアル面談、知人を通じた紹介などで、実際に働く人の話を聞く機会があれば積極的に活用しましょう。
- 実際のプロジェクトの進め方やチームの雰囲気
- どのような人が活躍しているか
- 入社前後でのギャップ
こうした話は、公開情報だけでは得にくい具体性を志望動機にもたらします。ただし、個人の体験談をファーム全体の特徴として断定的に語るのは避け、「お話を伺う中で〜と感じた」という形で伝えるのが適切です。
複数のファームを比較する
1社だけを研究していると、その特徴が本当に固有のものなのかが分かりません。複数のファームについて同じ観点で情報を整理し、比較することで、応募先ならではの特徴と自分との接点が見えやすくなります。
NG例と改善例
以下は、説明のために作成した架空の例です。
NG例
御社はグローバルなネットワークを持ち、多様な業界で実績があるため、幅広い経験を積んで成長できると考え志望しました。
この例には、次のような課題があります。
- 多くのファームに当てはまる理由で、「なぜこのファームか」に答えていない
- 「成長できる」という、自分が得るものの話に終始している
- 過去の経験とのつながりが見えない
改善例
現職では製造業の経営企画として中期経営計画の策定に携わってきましたが、既存事業の延長線上の議論にとどまり、事業ポートフォリオの見直しまで踏み込めないことに課題を感じてきました。こうした全社レベルの意思決定を、客観的な分析に基づいて支援する立場で経験を積みたいと考え、戦略コンサルタントを志望しています。
中でも御社は、製造業のポートフォリオ変革に関する発信を継続的に行っており、説明会で伺ったプロジェクトの進め方からも、クライアントと一体となって実行まで伴走する姿勢を感じました。現職で培った製造業の現場理解と計画策定の経験を活かしながら、この領域で価値を発揮したいと考えています。
改善例では、現職での問題意識から、コンサル・戦略領域を選ぶ理由、応募先を選ぶ理由、入社後の貢献までが一続きになっています。
面接での深掘りへの備え
志望動機は、一度話して終わりではなく、面接官からの問いかけによって何度も深掘りされます。次のような質問を想定して、準備しておきましょう。
- 「その課題は、現職の中で解決することはできないのですか?」
- 「他のファームではなく、当社でなければならない理由は何ですか?」
- 「コンサルタントの仕事の厳しい面については、どう考えていますか?」
- 「5年後、10年後にどうなっていたいですか?」
- 「他にどのような企業を受けていますか?」
深掘りへの備えとして、次の点を意識するとよいでしょう。
- 暗記した文章を読み上げない:想定外の角度から聞かれると崩れやすくなります。要点だけを押さえ、自分の言葉で話せるようにする
- 「なぜ」を自分で繰り返す:一つの答えに対して「それはなぜか」を3回ほど自問し、答えが浅くならないかを確認する
- 一貫性を保ちつつ、正直に答える:他社の選考状況などは、無理に取り繕うよりも、自分の軸に沿って率直に説明するほうが信頼につながります
- 第三者に聞いてもらう:自分では一貫しているつもりでも、他の人が聞くと飛躍がある場合があります
まとめ
戦略コンサルの志望動機は、「なぜコンサルか」「なぜ戦略ファームか」「なぜこのファームか」「将来何をしたいか」の4つの階層で組み立て、過去の経験から将来像までを一本の線でつなげることが大切です。丁寧なキャリアの棚卸しとファーム研究を重ねることで、深掘りされても揺らがない志望動機に近づいていきます。
Strategy Talentでは、キャリアの棚卸しから志望動機の整理、面接での深掘りを想定した練習までをサポートしています。考えがまとまらない段階でも、お気軽にご相談ください。