仕事の「進め方の土台」が違う
業務・ITコンサルで磨かれるのは、計画し、管理し、確実に届ける力です。戦略コンサルで求められるのは、あいまいな状況で問いを立て、仮説で前に進む力です。どちらが上という話ではなく、使う筋肉が違います。
同じ「コンサルタント」でも、仕事の中身は大きく違います。挑戦する前に、正直にお伝えしたいことがあります。
業務コンサルやITコンサルから戦略コンサルへの転職は、「同じ業界内の移動」に見えます。しかし実際には、別の職種に移るのに近い、大きなジャンプです。
このことを知らないまま内定を得て入社し、立ち上がりに苦しむ方がいます。私たちは、転職を成功させることだけでなく、その先で力を発揮し続けられることを大切にしたいと考えています。だからこそ、最初に現実をお伝えします。
どちらが優れているという話ではありません。求められる動き方が違うのです。
| 業務コンサル・ITコンサル | 戦略コンサル | |
|---|---|---|
| 問いの与えられ方 | 解くべき課題とゴールは、プロジェクトの開始時点でほぼ決まっている | 「そもそも何を解くべきか」から自分で定める。問いの立て方そのものが評価される |
| 仕事の進め方 | 計画を立て、抜け漏れなく、予定どおりに進める | 仮説を先に置き、数日単位で検証して、間違っていれば捨てる |
| スピードの単位 | 週次・月次の進捗で管理する | 朝の議論が夕方には形になっていることを求められる |
| チームの規模 | 数十人規模の中で、担当範囲が明確に分かれている | 数人のチームで、一人ひとりが論点を丸ごと担当する |
| アウトプットの基準 | 正確で、網羅的で、合意された成果物 | 経営者の意思決定を動かす示唆。1枚のスライドの1行まで問われる |
| レビューの頻度 | 節目ごとのレビュー | 毎日のように成果物に赤字が入り、その場で直すことを求められる |
| 評価の時間軸 | 年次の評価が中心 | プロジェクトごとに評価され、結果が早く積み上がる |
※ 一般的な傾向をまとめたものです。ファームや部門、プロジェクトによって異なります。
業務・ITコンサルで磨かれるのは、計画し、管理し、確実に届ける力です。戦略コンサルで求められるのは、あいまいな状況で問いを立て、仮説で前に進む力です。どちらが上という話ではなく、使う筋肉が違います。
「網羅的に調べてから話す」「合意を取ってから進める」。前職で評価されてきた動き方が、新しい環境では「遅い」「結論がない」と受け取られることがあります。経験者ほど、学び直しに苦労すると言われます。
新卒入社であれば、数年かけて型を身につけます。中途入社、とくにコンサル経験者は、職位に見合った働きを早い段階から期待されます。最初のプロジェクトの評価が、その後のアサインに影響することもあると言われます。
内定はゴールではなく、スタートです。
研修を経て、最初のプロジェクトへ。資料の作り方、議論の速さ、求められる水準の違いに直面します。
担当の論点を任されます。「で、結論は?」「So What?」と問われ続け、前職のやり方が通用しない場面が増えます。
最初の評価の時期。ここまでに型を身につけられたかどうかで、その後に任される仕事が変わり始めます。
立ち上がりにつまずいたままだと、厳しいフィードバックを受け、別の道を考えるよう促されることもあると言われます。
※ 一般に語られる傾向であり、すべての方に当てはまるものではありません。評価や人事の運用はファームによって異なります。
実際に転身した方々が、Web上で公開している振り返りです。
要旨は当サイトでまとめたものです。詳しくは出典のページをご覧ください。
総合系ファームのITコンサルタント(5年)→ 外資系戦略ファーム
転職直後に最も戸惑ったのはスピード感。与えられたタスクを丸1日ひとりで考えてから上司に相談したところ、ゴールがあいまいなまま使った時間は無駄になると指摘された。以後は1〜2時間で内容を消化し、半日以内に相談するやり方に改めたが、それでも仕事のリズムに慣れるまで半年、価値の出し方が分かり始めるまでには1年以上かかったと振り返っている。
「自分なりに戦略コンサルタントの仕事のリズムになじむまでに半年」
出典:【白熱1万字インタビュー】総合系から戦略系に移ったコンサルタントのホンネ(ワンキャリア、2019年6月。戦略ファームがスポンサーの採用広報記事)
総合系ファーム(10年以上)→ 戦略コンサルティングファーム
入社後、前職で積み上げた知見がそのままでは通じない環境に直面したという。「それっぽい整理」は通用しないと指摘され、論点の深さや思考の鋭さなど、あらゆる面で一段上の基準を求められた。辞めることを考えるほど苦しい時期もあったが、前職で培った業務知識や学ぶ姿勢を足場に、「成長するために来た」という目的を持ち続けて乗り越えたと振り返っている。
「総合コンサルで10年以上やってきた自負は、ほぼ通用しない。」
出典:戦略コンサル1年目のリアル。転職は正解だったのか?(アンテナ さん(note)、2026年2月)
総合系ファームのIT領域 → 総合系の戦略部門 → 外資系戦略ファーム
外資系戦略ファームに中途入社した直後、新卒入社の若い同僚から、これまでのやり方は忘れるよう率直に言われたという。年次に関係なく指摘が飛ぶ文化に馴染めるかどうかが分かれ目で、本人は素直に受け入れることで適応した。戦略コンサルとITコンサルは、どちらが上という関係ではなく「別の職業」だと強調している。
「あなたが今までやってたことは忘れてください。」
出典:「戦略コンサルとITコンサルは別職業」元戦略コンサルが語る転職【Vol.1】(メルセンヌ(転職エージェントによるPR記事、語り手は匿名)、2026年5月更新)
銀行 → 海外でMBA → 外資系戦略ファーム(30歳で入社。コンサル未経験)
入社当初は順調だったが、1年ほど経って上司から厳しめの指摘を受けても、それまでの「うまくいってきた自分」という認識を変えられず、行動を改められなかったと本人が振り返っている。3年目に、これ以上の育成は難しいと告げられて退職を決めた。次の会社では正反対の評価を受け、評価は環境によって大きく変わること、その組織で自分がどう貢献するかを自分で考えなければ長くは続かないことを学んだという。
出典:岡島悦子×篠田真貴子(前編)「不真面目で泣いていた」日々と"退職勧告"(Business Insider Japan(実名での対談)、2017年12月)
元・外資系戦略ファーム勤務の書き手が、同僚を見てきた立場から
戦略ファームの在職期間にはいくつかのパターンがあり、その一つが、中途で入ったものの仕事が合わず1年前後で辞めていくパターンだという。ただし、その後の転職に大きな悪影響はなかった印象で、転職先は著名な大企業や外資系企業が多かったと述べている。合わないと感じたら1年ほどで見切りをつけるのは、それほど悪い話ではないという見方を示している。
「中途入社で戦略ファームに入ったものの、仕事が全く合わなかったということで辞めていくパターンです。」
出典:在職期間とその後のキャリアについて(その2)(ケンゾウの戦略コンサル物語)(ケンゾウ さん(IT転職エージェントのサイトに掲載の連載コラム)、公開日の記載なし)
コンサルティングファームに中途入社した書き手が、周囲の中途入社者を見てきた立場から
中途入社でうまくいかなかった人に共通する特徴として、コンサルティングの仕事の進め方についての知識不足、上司に相談するタイミングの遅さ、指摘を受けてから改善するまでの遅さ、の3つを挙げている。対策として、入社前に書籍などで仕事の進め方を学んでおくこと、ためらわずに早く質問すること、指摘されたことは大げさなくらいに直すことを勧めている。
「試用期間中は能力の絶対値ではなく、能力の成長速度とその加速度が注意深く観察されている」
出典:コンサルティングファームに中途入社してクビ(解雇)になる人の3つの特徴(矢沢誠 さん(個人ブログ。転職サービスの広告あり)、2019年3月公開・2023年7月更新)
戦略ファームなどでの勤務経験を持つ書き手の見方
退職する人の大半は自分の意思で辞めており、実際に解雇に至るのはごく一部だという。その主な原因は能力の不足よりも、入社後にやる気を失ってしまうことにあり、複数回の評価と警告を経たうえでのことだと述べている。過度に恐れる必要はない、という立場からの意見。
「真摯に取り組んでいればクビになることは(まず)ないのであり、クビを恐れる必要はない。」
出典:クビに関して(トーキョーハーバー さん(note)、2020年4月)
業務改革(BPR)系ファーム → 総合系ファームの戦略部門
戸惑ったのは、労働時間の増加と、考え方・アプローチの変化。前職でうまくいっていたやり方が、そのまま通用するとは限らなかった。順応のために意識したのは、パートナーやマネージャーの後ろにいるだけでなく、自分がクライアントの前面に立つこと。そうすることで、案件を自分のこととして捉えられるようになったという。
「自分が今までうまくいっていたやり方で必ずしもうまくいくとは限らない」
出典:業務コンサルから戦略コンサルへ。生き残るための心得とは?(GradsGuide(転職相談サービス運営会社によるインタビュー、語り手は仮名)、2024年2月)
総合系ファーム → ブティック系戦略ファーム(現在はマネージャー)
移りたての頃は「正解を言わなければ」という思いから委縮し、思うように発言できなかったと振り返る。マネージャーになった今は、あいまいな理解のまま相づちを打つメンバーよりも、自分で細かく考えたものをぶつけて試行錯誤を繰り返す人のほうが、最終的に評価が高くなると述べている。
「正解をいわなくちゃという強迫観念から思うように発言できず」
出典:戦略コンサル転職体験記①(kon3 さん(note。ケース対策の有料記事への案内あり)、2020年3月)
元・外資系戦略ファーム勤務の書き手が、他ファーム出身の同僚を見てきた立場から
他のコンサルティングファームの出身者は、論点の整理や仮説思考といった戦略ファーム特有の仕事の進め方に、最初は戸惑いやすいという。とくにマネージャー級で入ると最初が大変なため、現場メンバーとして入社すること、できれば前職でマネージャーに昇進する前に移ることを勧めている。本人の体験ではなく、同僚を見てきた立場からの意見。
「多くの方が最初は少し戸惑うんじゃないかと思います」
出典:他コンサルから戦略コンサルへの転身(ケンゾウの戦略コンサル物語 第54話)(ケンゾウ さん(IT転職エージェントのサイトに掲載の連載コラム)、公開日の記載なし)
国内の総合系ファーム → BIG4系ファームの戦略部門
憧れていた「戦略案件」にも泥臭い仕事は多く、中期経営計画の策定、M&A戦略、新規事業開発など、中身もさまざまだと分かったという。自分が本当にやりたい案件は、その一部に限られるかもしれない。「戦略コンサル」という職種全体を追うのではなく、やりたい案件を具体的にしてから、それに合う環境を選ぶべきだと、転職前の自分への助言として振り返っている。
「戦略案件でも泥臭い仕事は色々ありますし、そもそも戦略案件と言ってもかなり色々です。」
出典:【はじめてのnote】戦略コンサルを目指し、入ってみて、数年かけて分かったこと(思考の編集者 さん(note)、2026年3月)
※ 個人の体験であり、一般化できるものではありません。当サイトは各記事の書き手・媒体とは関係がなく、内容の正確性を保証するものではありません。
ここまで厳しい話をしてきました。ただ、お伝えしたいのは「やめておけ」ではありません。ジャンプの大きさを知ったうえで、準備して飛ぶことの大切さです。
業務・ITコンサルで培った、実行の現場感やクライアントとの向き合い方は、戦略の仕事でも確かな強みになります。必要なのは、その強みが活きる前に振り落とされないための、立ち上がりの準備です。
私たちは、選考対策に加えて、内定後から入社までの期間に実際のプロジェクトを模したトレーニングをご用意しています。
転職するかどうか、決まっていなくて構いません。
いまの経験がどう評価されうるか、どんな選択肢があるかを率直にお伝えします。