Case Practice

日本で1年間に発行される処方箋の枚数を需要と供給から推定する

  • フェルミ推定
  • 難易度:標準
  • 目安 15分
設問

日本国内で1年間に発行される処方箋の枚数を推定してください。
まず年代別の受診頻度から需要側で積み上げ、次に薬局の数と1日あたりの処理枚数から供給側で検算してください。

まず時間を計って、声に出して解いてみてください。行き詰まったらヒントを1つずつ開き、解き終えてから解説を確認します。

ヒント 1 を見る

需要側は「年代別の人口 × 年間の受診回数 × 処方箋が出る割合」で積み上げます。高齢層と現役世代で受診の頻度が大きく違うため、年代で分けることに意味があります。

ヒント 2 を見る

供給側は「薬局数 × 1軒あたりの1日処理枚数 × 年間営業日数」です。薬局数は、身近な店舗(コンビニなど)の数との比較で置くと根拠を説明しやすくなります。

ヒント 3 を見る

病院や診療所の中で薬を受け取る場合(院内処方)を含めるかどうかで枚数が変わります。定義を最初に確認しましょう。

解説を表示する解答の流れ・数値例・評価のポイント・よくあるNG・発展問題

前提の確認

最初に、面接官と次の点をすり合わせます。ここで置いた前提が、以降の数値の根拠になります。

  • 対象:医療機関の外来で医師が発行し、薬局で調剤される処方箋(院外処方箋)。入院中の薬や、医療機関の中で受け取る院内処方は含めない
  • 数え方:1回の受診で発行される処方箋を1枚と数える。同じ日に複数の診療科を受診した場合は別の枚数とする
  • 時点:平常時の1年間。歯科の処方箋は枚数が少ないと見て、本問では医科に絞る

解答の流れ

1. 式に分解する(需要側)

年間の処方箋枚数 = Σ(年代別の人口 × 年間の受診回数)× 処方箋が出る割合 × 院外で調剤される割合

2. 年代別に置く

日本の人口を 1億2,000万人(仮定) とし、受診頻度に差が出る3つの年代に分けます。

  • 0〜14歳1,500万人(仮定)。風邪や皮膚の症状などで小児科にかかる機会が多く、年 8回(仮定) の受診と置くと、

    1,500万人 × 8回 = 1億2,000万回

  • 15〜64歳7,000万人(仮定)。通院していない人が多数を占める一方、花粉症や慢性疾患で定期的に通う人もいるため、平均で年 4回(仮定) と置くと、

    7,000万人 × 4回 = 2億8,000万回

  • 65歳以上3,500万人(仮定)。高血圧などで月に1回程度通院する人が多いと見て、年 15回(仮定) と置くと、

    3,500万人 × 15回 = 5億2,500万回

合計は 1億2,000万 + 2億8,000万 + 5億2,500万 = 9億2,500万回 の受診です。

3. 処方箋が出る割合と院外の割合を掛ける

受診の多くは薬の処方を伴うと見て、処方箋が出る割合を 8割(仮定) と置きます。さらに、そのうち院外の薬局で調剤される割合を 8割(仮定) とすると、

9億2,500万回 × 0.8 × 0.8 = 5億9,200万枚 → 約6億枚

4. 供給側で検算する

年間の処方箋枚数 = 薬局数 × 1軒あたりの1日処理枚数 × 年間営業日数

  • 薬局数:街中で見かける頻度がコンビニと同じ程度と見て、6万軒(仮定) とします
  • 1日処理枚数:1軒に薬剤師が 2人(仮定)、1人が1日に 20枚(仮定) を処理すると置き、1軒あたり 40枚
  • 営業日数:週6日営業でも日曜・祝日と年末年始は休む薬局が多いと見て、280日(仮定)

6万軒 × 40枚 × 280日 = 6億7,200万枚 → 約6億7,000万枚

5. 比較して丸める

需要側は約5億9,000万枚、供給側は約6億7,000万枚で、同じ桁に収まり差は1割強です。需要側は「処方箋が出る割合」と「院外の割合」を2回掛けているため保守的に出やすく、供給側は処理枚数の少ない小規模薬局を平均に含めているため高めに出やすいと説明できます。年間およそ6〜7億枚、約6億5,000万枚 と結論づけます。

妥当性の確認

別の角度から桁を確認します。約6億5,000万枚を人口1億2,000万人で割ると、国民1人あたり年に5〜6枚 です。毎月通う高齢者と、年に1〜2回しか受診しない現役世代をならした値として、生活実感と矛盾しません。

発行する医師の側からも確認します。外来を担当する医師を 20万人(仮定)、1人が1日に診る外来患者を 20人(仮定)、年間の診療日数を 250日(仮定) と置くと、受診回数は 20万人 × 20人 × 250日 = 10億回です。これに処方箋が出る割合0.8と院外の割合0.8を掛けると6億4,000万枚となり、推定の範囲と整合します。

評価のポイント

観点 見られていること
前提確認 「院内処方を含めるか」「1回の受診で1枚」といった定義を、聞かれる前に自分から置けたか
セグメントの切り方 受診頻度に差が出る軸(年代)を選び、高齢層の頻度の高さを数値に反映できたか
数値の置き方 薬局数や1日の処理枚数に、身近な店舗数や薬剤師の人数など具体的な根拠を添えられたか
検算 需要と供給のずれの理由を説明し、医師側など第三の角度でも確かめられたか

よくあるNG

  • 「1人が年に何回病院に行くか」を全年代一律で置き、高齢層の頻度の高さを反映しない
  • 処方箋の枚数と、1枚に書かれる薬の品目数を混同し、桁が大きくずれる
  • 薬局数を「人口 ÷ 適当な数」で根拠なく置き、身近な店舗数との比較で確かめない
  • 需要側と供給側の差を説明せず、単に平均を取って終わる

発展問題

同じ前提を使って、日本の調剤薬局の年間市場規模(調剤医療費) を推定してください。処方箋1枚あたりの薬剤費と、薬局が受け取る技術料をそれぞれ仮定で置き、枚数と掛け合わせます。高齢者の処方箋は薬の品目数が多く単価が高いと見て、年代別に単価を置き分けられるかが問われます。

※ 本問の数値はすべて説明のための仮定であり、実際の統計値とは異なります。

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